海外のサイトや本を読んで「なるほど。」と思ったペット先進国での常識を、
オーナーの立場から、
取り敢えず、思いつくままにまとめてみようと思います。
 
 
もちろん、全てが今の日本の現状に当てはまる訳ではありませんが、
今後の参考ともなりますし、オーナー側自身の考え方や、ブリーダーさんやペットショップに対しての、
オーナー側からの評価の基準を上げることによって、
最終的には、仔猫や猫たちにも、ブリーダーさんの方々にも、そしてオーナー側の利益にも
なると考えます。
 
 
「養子に来る適齢期は?」
 
「去勢/避妊手術の必要性」
 
 
- 養子に来る適齢期は?
  NEW!
「猫を飼うのなら、仔猫、それも2〜3ヶ月の幼猫のうちに飼い始めないと懐かない。」という考えをお持ちの方も多いようですが、
(主に欧米の)様々なブリーダーさんのサイトや、本を読んでおりますと、「猫は駄獣ではないので、生涯のいつの時点においても、
歳を取っていても、新しい人間と絆を結ぶことが出来る。」と書いてあるものが多いのです。
特に良心的な、本当にその仔猫の幸せのことを考えていらっしゃる責任感のあるブリーダーさんであればあるほど、
そのことついては、くどいくらいに言及していらっしゃいます。
むしろ、早過ぎる乳離れの方が精神的にも肉体的にも不安定になり、生涯に渡って人や他の動物と絆を結べないなどの心の傷跡や、神経症的な問題行動、
免疫力の低下などの問題をはらむ場合が多いそうです。
 
 
 
母猫は、通常、仔猫が8週齢から12週齢の間に、乳離れを開始します。
母猫は授乳を拒否するのに伴って、
積極的に、拒絶や欲求不満に対処する方法を教えます。
このことを学んでいない仔猫は、行動上の問題を進展していきかねません。
乳離れは、母猫からの独立を獲得する期間でもあるのです。
不意の突然な乳離れではなくて、段階的な過程を踏む方が、ベストなのです。
もし、仔猫があまりにも早く母猫から引き離されてしまった場合、
食事の量が減り、トイレの問題も起こるでしょう。
食事と環境の変化は、仔猫にストレスを与えてしまい、また、
仔猫に下痢を引き起こしてしまいます。
何しろ仔猫はほんのわずかな身体の塊しか持たないので、
重症の下痢は、
脱水と急速な体重減のため、命取りになる場合があります。
 
 
 
乳離れに適切な時期は、最低12週齢で、
賢明なブリーダーさんは、少し長すぎると思われても、
仔猫が母猫から離れて充分にやっていける兆候が出る16週齢くらいまで、
手元に置くケースもあるそうです。
主な理由は2つあり、ひとつは、6週齢から12週齢の期間は、猫社会でのコミュニケーションやボディランゲージを通じての
精神的・情緒的な発達や、社会性を身につけるために、仔猫にとって非常に重要な、必要不可欠な時期である、という理由からです。
社会性が充分に身に付いた仔猫は、人間を心から受け入れることも学んでいますので、新しい環境や人にも
比較的簡単に馴染みやすく、人間との適切な関係もスムーズに結び易いとのことです。
その反面、強制的な別離を体験した仔猫は、怯え・物怖じ・内気、そして物事に対して不適当な執着を促す場合が
あるそうです。
 
 
 
特に、シャムの仔猫は母猫との絆が非常に強く、他の品種の猫より成熟が遅いので、
早過ぎる離別が一生を通じての神経症的な習慣(毛布を吸ったりする)となってしまうことも少なくないとのことです。
 
 
 
また、もうひとつは、その期間は母猫からの免疫システムが徐々になくなっていく期間であり、
一方で、その補填のためのワクチン接種などが行われるため、体内環境のバランスが崩れやすい時期である、という理由によるものです。
この時期の仔猫の免疫システムは、母猫からもらったものから、初期のワクチンに助けられつつ、
その仔猫自身の免疫システムへ受け継がれるために、ちょうど始まったばかりの状態なのです。
この期間の仔猫は、呼吸器系の問題や下痢のような病気に対して、より敏感になります。
よって、この時期に新居へ向かうといったストレス、そしてそこで異なる細菌にさらされるといったストレスは、
その仔猫をより病気にかかりやすくしてしまう可能性があります。
 
 
 
ブリーダーさんにとっては、4ヶ月齢(16週齢)になるまで仔猫を保持しておくということが、
より費用がかかるということは明らかです。しかし、何匹かの仔猫は、16週齢以前に投与された
ワクチンからは充分に免疫力を発達させることが出来ないので、
もし12週齢の仔猫を受け取った場合は、16週齢以降に
同じ種類のワクチンの3度目の接種を追加的に行うという事が重要となります。
また、最初の接種を終えたとしても、免疫を与えるためには充分とは言えず、
母猫のミルクの免疫からワクチンの免疫と入れ替わるための時間を、
仔猫は必要とします。
仔猫の免疫システムは、
他の病気を撃退するための働きより、このシステム交替の課題だけで手一杯なので、
その結果、事実上その仔猫は、あらゆる病原菌から護られることなく、放置されている状態なのです。
さらに、母猫や兄弟猫との別離や、
住環境の変化、新しい人間たちとの関係を作らなければならない、などの精神的なストレスが加わった場合、
著しい免疫力の低下などの懸念が挙げられ、最悪の場合は、死に至ることもあるとのことです。
 
 
 
乳離れも免疫システムの変化も、一つの過程であり、ある日突然ということではありません。
感情的にも肉体の健康においても、一番良い解決法は、全て自然に任せることだそうです。
「6〜8週齢の仔猫は幼児ですので、母猫に全てを任せて、
このようなことを強制するような研究不足のブリーダーさんからは、歩かないで走って逃げなさい。」と書いてありました。
 
 
 
ついでながら言えば、日本でも、2003年12月に改正・公布された「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」の
第6条の5において、「ねこの所有者は、子ねこの譲渡に当たっては、特別の場合を除き、離乳前に譲渡しないように努めるとともに、その社会化が十分に図られた後に譲渡するよう努めること。
また、譲渡を受ける者に対し、社会化に関する情報を提供するよう努めること。」
と規定されておりますので、生後50日〜60日で譲渡するようなブリーダーさん及びペット・ショップは
この法律に違反しているともいえます。
 
 
 
つまりは、これらこと(免疫・離乳の時期・社会化・ストレスのこと)について事前に詳しく説明していただける
ブリーダーさん及びペット・ショップの方でしたら、良心的であると考えても良いと思いますし、
更に言えば、オーナー側が生後50日〜60日での譲渡を望み、主張しても、
断固として断り、その理由を丁寧に説明して下さるような方でしたら、
信頼の置けるブリーダーさん及びペット・ショップで
あると思われます。
 
 
 
新居に到着してからは、十数年〜二十年にもわたる長いお付き合いになりますので、
仔猫時代くらいは存分に母猫や兄弟達との時間を与えてあげたいものですね。
それは、とりもなおさず、心身ともに健康な猫と長い間幸せに暮らしたいと思っている我々オーナーのために
もなることだと確信しております。