「オールドスタイル・シャム」、「OSS」
「オールドスタイル・シャム」は、海外では「オールドスタイル・サイアミーズ」あるいは OSS と呼ばれています。
 
 
これは、主に、アメリカのPREOSSIA
や、
イギリスのOSSCで使われている呼び名で、
この「OSS(昔の姿のシャム猫)」の「総称」としても、世界中で一般的に使われています。
(ちなみに、OSSCは、世界最古のイギリスの猫愛好家連盟であるGCCFの準加盟団体になっているそうです。)
 
 
この呼び方では、「トラディショナル・シャム」や「クラシック・シャム」などの分類はせずに、
 
”1880年から1950年代の間に、
当時のシャムからイギリスに輸入され、
世界中で爆発的に増える以前の最初のサイアミーズ、
そしてその初期のサイアミーズの子孫に見られるように
穏やかな中くらいの程よい外見を持つ、
純血種のサイアミーズである ”と説明しています。
 
 
従って、「トラディショナル・シャム」や「クラシック・シャム」、「タイ」、「タイ・キャット」の全てが、
OSSの範疇に入るとのことです。
また、OSSは、
決して「モダーン(ショースタイル)・サイアミーズ」の低品質のもの(またはペット用の質のもの)を意味する訳ではなく、
いくつかの「モダーン(ショースタイル)・サイアミーズ」の極端な外見こそありませんが、
サイアミーズの沢山のスタンダード(理想的な姿)の重要な部分に合致しているそうです。
しかし、その姿を早い段階で得るために、
他品種とのアウトクロスを行った、
特殊な「トラディショナル・シャム」、「タイ」、「タイ・キャット」は、
純血の「サイアミーズ」ではないという理由で、
OSSの定義には合致していないとのことです。
 
 
OSSの骨格など身体の構造の範疇は、幅も広く多彩ですが、
「モダーン(ショースタイル)・サイアミーズ」よりは、ずっと頑丈な骨格で、
穏やかなウエッジ・ヘッドの頭部を持ち、中くらいの長さの胴体に代表されるように、
基本的に、東洋的な体型の猫の特質を持っているそうです。
 
 
「穏やかな(緩和された)ウエッジ・ヘッド」「東洋的な体型」の代表的なものには、
「ジャパニーズ・ボブテール」、「トンキニーズ」、「アビシニアン」、そして「コラット」などの
東洋(アジア)系の猫が挙げられるとのことです。
 
 
 
 
「タイ」、「タイ・キャット」
2007年2月に、TICAにおいて、タイ(Thai)は、固有の品種として認定されました。
 Thaiのブリード・スタンダード
 
 
ヨーロッパ、特にドイツやオランダでは、OSSは
「タイ」、「タイ・キャット」、「Thaikatzen」と呼ばれています。
 
 
特にブリード・クラブに属していないブリーダーさんたちが集まって、
彼らのOSSを、「モダーン(ショースタイル)・サイアミーズ」と区別するために、
「サイアミーズ」の名を捨てて新しい品種として立ち上げ、暫定的に公認されているそうです。
それぞれの国では、繁殖に携わるブリーダーさんたちのワーク・グループやブリード・クラブがあり、
「サイアミーズ」とは別個の品種として、キャット・ショーや独自のスタンダードも存在
するそうです。しかしながら、ドイツやオランダでも、
主要な団体では依然として「タイ」、「タイ・キャット」とも
正式に認定はされてはいません。
その代わり、公認されている正式なキャット・クラブのサポートなどは受けているようです。
 
 
ドイツにはIG Siam
、ITC、Babarian CFAが、
そして、オランダにはWTSNがあり、
それぞれ「タイ」、「タイ・キャット」として、ブリードを行い、登録もされているそうです。
また、ドイツのBabarian CFA、WCFなどのキャット・クラブでは、
「タイ」、「タイ・キャット」独自の、基準書(=スタンダード)も存在するそうです。
 
 
補足的な説明を致しますと、
いくつかの「タイ」、「タイ・キャット」は、穏やかな東洋的な姿の純血種の「サイアミーズ」であり、
OSSの定義にも合致しているそうですが、
この中には、
実際ピュア・サイアミーズではない「タイ」、「タイ・キャット」もいるそうです。
何故かというと、殆どの最初のヨーロッパのブリーダーさんたちは、
より丸みを帯びた外見を早い段階で獲得するために、
OSSを他の品種とアウトクロス(異種交配)しようと試みていたそうです。
いくつかの「タイ」、「タイ・キャット」には、その近い祖先にサイアミーズ以外の品種が含まれており、
しばしば、「バーマン」、「バーミーズ」、「トンキニーズ」、そして「ヒマラヤン」たちが、
それらの血統に見つかることがあるそうです。
 
 
「タイ」、「タイ・キャット」、「タイ・サイアミーズ」のスタンダードには、
元来の深い青い眼よりは薄い青い眼のことや、
いくらかふわふわした被毛のことも明記してあるとのことです。
 
 
同時に、ドイツの雑誌には、
 
”「タイ」、「タイ・キャット」は
「ブリティッシュ・ショートヘアー」や「エキゾチック・ショートヘアー」と交差をさせることなく
ブリードすることが必要である。”とか、
”もし、ブリーダーさんと責任感のある審査員が、この「サイアミーズ」の姿が2種類あるという課題の
解決の一端を担っているとすれば、最終的には「タイ」、「タイ・キャット」という品種は必要ではない
(2種類の体型のサイアミーズを公認する、ということ)。”とも
書かれているそうです。
 
 
最後に、イギリスでは「コラット」の長毛種を、
新たな品種として「タイ・キャット」と名付けているグループもあるそうですが、
ここで言う「タイ・キャット」は、その「タイ・キャット」とは完全に異なります。
 
 
最近になって、
この「タイ」及び「タイ・キャット」に、英国のピュア・サイアミーズの血統を導入するドイツやオランダのブリーダーさんが増えてきているそうです。
 
 
「トラディショナル・シャム」、「クラシック・シャム」
「トラディショナル・シャム」、「クラシック・シャム」は、海外では、それぞれ「トラディショナル・サイアミーズ」、「クラシック・サイアミーズ」
と呼ばれています。
 
 
アメリカのTCA
やTCCI、という愛護協会で使われている呼び名です。
その後、TCAは、イギリスのTSCAと提携・協力するようになり、
現在ではTSCAでも、この呼び名に統一されて使われているようです。
TCAは、最初にイギリスに入ってきたシャム猫を「トラディショナル・シャム」と呼び、
1番目のシャム猫の原型だと説明しています。
続いてタイから輸入された、2番目のシャム猫の原型を「クラシック・シャム」と呼んで、
両者を区別しています。
 
 
「トラディショナル・シャム」は、大柄で、丸い顔を待ち、体格も丸く、重く、
また甚だしく健康な猫だということです。
「クラシック・シャム」は「トラディショナル・シャム」に比べて、
よりわずかに少し長いが、大柄な猫であるそうです。
分かりやすく言えば、「クラシック・シャム」は「トラディショナル・シャム」と、
「モダーン(ショースタイル)・シャム」の中間であるとも言えます。
その区別方法は、一般人には分かりにくいものではありますが、
TCAでは、それぞれにスタンダード(理想的な姿)を作成し、
米国の著作権を保持しているとのことです。
どちらも、非常に健康で頑丈で、極端さのない猫です。
「トラディショナル・シャム」と「クラシック・シャム」の被毛は、基本的には同じで、
短毛ですが、いくらか厚みがあり、触感には若干弾力性が感じられ、
非常にやわらかい感触なのだそうです。
「トラディショナル・シャム」は、割合と寒さにも強く、雪の中を犬のように飛び回っていたという
話もあるそうです。
また、「トラディショナル・シャム」の中でも、
1800年末期に、シャム猫の最初のショー・チャンピオンになった「チャンピオン・ウォンキー」に
似て、特に大きく重い猫を「アップルヘッド」と呼んでいるそうです。
 
 
「トラディショナル・シャム」と「クラシック・シャム」は、タイから流出した2種類の体型で、
現在の「ショースタイル・シャム」は選択的繁殖により人為的に、この2種類のシャム猫から派生させたものだそうです。
「トラディショナル・シャム」をブリードする蓄えは世界的にも滅多になく、
「クラシック・シャム」の方がより多くいるようだとのことです。
 
 
また、さらに補足的な説明を致しますと、「トラディショナル・シャム」の中には、
例外的に、
密度の濃いふわふわした被毛で、とても丸い頭蓋骨の、
額から鼻に渡っての鼻筋に大きな窪みがある、
「主要な猫の団体に登録されていないサイアミーズ」の猫がいるそうです。
この猫は、「トラディショナル・シャム」らしい外見をしていますが、
遠い祖先からのサイアミーズの「ポインテッド」のパターンの被毛をたまたま遺伝的に
持っている、混血の猫であると考えられているとのことです。
そのような「トラディショナル・シャム」は、繁殖用としてではなく、
ペット用として販売されている場合が多いようです。
 
 
現在、「トラディショナル・シャム」は、OSSの「総称・通称」として、
ヨーロッパ、例えばオランダのWTSNでも
一般的に使われるようにもなって来ています。
ただ、「トラディショナル・シャム」と「クラシック・シャム」という呼称は、
TCAが、米国の著作権も保有しているそうですので、使用する場合には注意が必要です。
 
 
「アップルヘッド・シャム」
「アップルヘッド」という呼び名は、1950年代のアメリカで呼ばれ始めました。
当時、シャム猫の姿は、現在のショースタイル・シャムの方向への選択的繁殖に向け、
大きく転換する時期でした。
その動きをリードしていた、当時の選り抜きのブリーダーさんたちが、
その方向へ向かっていないブリーダーさんたちの「よりずんぐりしている、そして
より丸みを帯びた頬と顎を持つ傾向のシャム猫」を、
侮辱的な意味において「アップルヘッド」と呼び始めたのが、その始まりだと言われています。
この呼び方は、実際にはシャム猫の頭部は昔も今も、程度の差はあれ、
ウエッジ・ヘッド(くさび型)であったにも拘らず、「りんごのような丸い形の頭部」を連想させることから、
OSSに対する誤解を生み易いとも言われています。
 
 
その後、「アップルヘッド」は「通称・俗称」として定着し始め、「愛称」としても使われるようになりました。
今日では、一部の猫の百科事典にも、この猫の呼び名として掲載されている場合もあります。
蛇足ですが、この「アップルヘッド」という表現は、一般的には、一部の犬種(チワワ)に良く使われているようです。
 
 
現在でも、特定のOSSを「アップルヘッド」と呼んでいるアメリカの団体はありますが、
このOSSの猫の姿を的確に表現する意味で呼んでいるのではなく、正式名でもないとのことです。
 
 
また、イギリスの団体は「イギリスには、アップルヘッドは昔も今も存在しなかった。アップルヘッドは、
しばしばブリティッシュ・ショートヘアーなどのような
他の品種とのアウトクロス(異種交配)により、アメリカで創作されたものである。」と
の見方もあると説明しています。
 
 
「丸顔シャム」、「タヌシャム」
これは、日本独特の呼び名です。
日本にはまだ、ブリーダーさんもブリードクラブもありませんので、
主に、オーナー側がその外見に親近感をこめて名付けた「愛称」だと思われます。